幼少期の「原体験」は、一生色褪せない
子どもの頃に感じた、朝露に濡れた芝生の匂い。 見上げるような大樹のざわめきや、肌をジリジリと焦がす太陽の暖かさ。 大人になってから触れるそれとは違う、全身の細胞で世界を吸収するようなあの感覚を、皆さんも覚えているのではないでしょうか。
図鑑で見るサバンナの動物も、タブレットで見る美しい海も、もちろん素晴らしい知識の源です。しかし、現地に立ち、土の匂いを嗅ぎ、気温や風を肌で感じながら得た「一次情報」の衝撃は、子どもの脳裏に強烈な原体験として刻まれます。 私は、五感が最も鋭敏なこの時期にこそ、全身を使った「本物の体験」をさせたいと強く願っています。

家族で体験を共有できる時間は、驚くほど短い
子どもと一緒に、純粋に世界を驚き合える時間は、実はそう長くありません。 高学年になれば受験勉強が本格化し、中学生になれば部活や友人関係で週末の予定はどんどん埋まっていきます。だからこそ我が家では、「小学生の時期は、家族の体験に最大限投資する」と決断しました。
国立青少年教育振興機構の調査研究でも、「子どもの頃の自然体験が豊富な人ほど、大人になってから『未知のことへ挑戦する意欲・関心』が高い」という結果が出ています。特に小学校低学年までの時期における自然や動植物との関わりは、その後の人間形成に大きな影響を与えるとされています。 旅行は単なるレジャーではなく、好奇心の土台を築き、世界を身近に感じさせるための「最高の教育投資」なのです。(参考: 平成28年度 文部科学白書 – 子供たちの未来を育む豊かな体験活動の充実)
ガラパゴス化した日本から、世界で戦える大人へ
私は外資系企業で管理職を務める中で、優秀な頭脳を持ちながらも、英語や異文化コミュニケーションへの壁を感じて尻込みし、キャリアの限界を迎えてしまう日本人を数多く見てきました。 日本という島国は安全で素晴らしい国ですが、ビジネスにおいても文化においても、急速にガラパゴス化が進んでいることは否めません。
将来の日本を担う息子には、国境や人種の壁を軽々と越え、世界を相手に堂々とコミュニケーションを取り、活躍できる大人になってほしい。 海外の広大な自然や異なる文化に触れることは、そのための心理的ハードルを下げる確実なステップアップになると信じています。

1回の体験を「一生の財産」にするためのプロジェクト
とはいえ、共働きで多忙な毎日の中、頻繁に海外や遠方へ行くことは不可能です。 だからこそ、限られた1回の旅で「中東ってこんなに活気があるんだ」「野生の動物ってこんな匂いがするんだ」という深い印象を残すためには、綿密な準備が不可欠です。
親自身の事前リサーチとプランニング。そして、ただ連れて行くだけでなく、図鑑や本を使った子どもへの「事前学習(仕掛け)」。 このブログ『親子のフィールドワーク』では、我が家が実践している旅行という名のプロジェクトマネジメントの全貌──親の準備過程から、現地での泥臭い苦労、そして子どもが知識を立体化させた瞬間の記録──を余すところなく共有します。
純粋な知的好奇心を満たし、世界へ羽ばたく子どもを育てる。 そんな「体験投資」に向き合うすべてのご家族にとって、当サイトの記録が一助となれば幸いです。