「帰国子女だから、英語ができていいよね」
よく言われる言葉です。私は4歳から10歳までアメリカで育ちました。でも、正直に言うと、そうでもありません。なにせ、アメリカにいたのは10歳までです。
10歳の子どもの日本語で、社会人として仕事ができるかを考えてみてください。あいさつや買い物はできても、会議で意見を言ったり、お客さんにメールを書いたりするのは難しいはずです。帰国子女の英語も同じで、そこには大きなギャップがあります。
この記事では、英語が「10歳のまま」だった父が、大人になってどう英語をやり直したか、そして子連れの海外旅行で、親の英語がどんな場面で役に立ったかを書きます。
帰国子女でも、英語は「10歳のまま」
日本に帰ってからは、公立の小学校から私立の中学校へ。中学では帰国子女向けの英語の授業もありました。ところが、高校から編入してくる帰国子女の人たちのレベルには、まったくついていけませんでした。
発音はある程度きれいなのに、考えていることは高校生レベルでも、使える単語や表現は小学生レベルのまま。「発音がきれいだからこそ」、そのもどかしさがコンプレックスでした。このあたりの話は、こちらの記事にも書いています。

大人になって、英語をやり直した
高3から大学2年生まで、マンツーマンの英会話に通う
大人になって世界で活躍するなら、英語は欠かせない。そう思って、高3から大学2年生までは、マンツーマンの英会話スクールのGabaに通いました。マンツーマンなので自分のレベルに合わせてもらえて、時間にも融通がきいたので、続けやすかったです。
英語で授業を受け、ドイツでは英語とドイツ語とフランス語
大学3・4年生では、英語で授業を行う専攻コースに進みました。「教授へのメールの文体がフォーマルでない」といった指摘を受けながら、少しずつ慣れていきました。
大学4年生の最後の学期には、ドイツへ留学。ドイツ人の学生たちと一緒に「Advanced English」の授業を受けると、日本人とはちがうところで、ドイツ人が英語に苦戦している様子が見えて、おもしろかったです。
誰かの家でパーティーをすると、10〜15人くらいの仲間が集まります。基本の共通語は英語。でも、ドイツにいるのでドイツ語のほうが話せる人もいれば、たまたまフランス語が共通語になる人同士もいました。お互いに語学のレベルはバラバラで、ちょっとずつわかったり、わからなかったり。それでもみんな、なんとか話して、その場を楽しもうとしていました。

仕事で知った「英語はひとつじゃない」
社会人になって外資系の会社に入ると、英語で仕事をする場面が一気に増えました。特にアジアの担当になったとき、最初の電話会議では、誰が何を言っているのか、何も聞き取れませんでした。
インドの英語、オーストラリアのなまりの英語。国によって、英語の聞こえ方はまったくちがいます。いろいろな国の英語にふれながら、半年かけて、英語に慣れた耳を作りました。
今は、仕事で英語を使うのが日常です。家で海外の人とリモート会議をしていることもあり、その様子を見ている息子は、英語を身近なものと感じているようです。グローバル化の時代、子どもに英語を勉強させる前に、親こそちゃんと話せたほうがいい。私はそう考えています。
旅先で、親は子どもの「通訳」になる
子連れの海外旅行で、親の英語がいちばん役に立つのは、子どもの「なぜ?」を現地の人に届けるときです。子どもの疑問を、親が現地の人にぶつける。返ってきた答えを、親が通訳する。そのやりとりを通じて、子どもは海外を体で感じます。旅先での親は、海外への「道先案内人」なのだと思います。
エクアドルの赤道で「コリオリの力は、どうして発見されたの?」
エクアドルの赤道で、北半球と南半球で水の渦の向きが変わる実験を見たときのこと。「コリオリの力」の説明を聞いた息子が、質問しました。「コリオリの力は、どうして発見されたの?」。質問したのは息子、それを英語にしてガイドさんに聞き、答えを日本語にしたのは父です。ガイドさんの答えは、「世の中の不思議なことに好奇心を持って、なんでだろう?と考え続けたら、発見できたんだって」でした。

ガラパゴスのツアーは、スペイン語が主、英語が副
ガラパゴスのツアーには、スペイン語が中心で進んでいくものもありました。それでも、英語の説明が必ずついていて、父はそれを必ず息子に通訳していました。観光客向けの大事な説明は、たいてい英語です。
言葉が通じにくいときは、翻訳アプリも
セブ島からボホール島への日帰りツアーでは、「日本語が話せる」はずのガイドさんと、日本語も英語もあまり通じませんでした。このときは、妻が翻訳アプリを使いながら話していました。今は翻訳アプリでも、用は足ります。それでも、子どもがふと口にした疑問を、その場で現地の人に聞けるのは、話せる親です。
英語だけでなく、行き先の言葉も少しだけ
エクアドルに行くと決めてからは、毎日Duolingoでスペイン語を勉強して、A1レベル(入門レベル)くらいはなんとかこなせるようになりました。キトやガラパゴスでは英語がなかなか通じなかったので、レストランで最低限の注文をしたり、道を聞いたりできたのは、とても助かりました。
ヨーロッパの言葉は、ひとつベースがあると、ほかの言葉も覚えやすくなります。大学時代にドイツ語とフランス語を少しずつ学んだことが、今になって役に立っているのかな、と感じます。
ただ、世界の共通語は、やはり英語です。ガラパゴスで同じツアーだったパナマの方は、「English is money language(英語はお金の言葉)」と言っていました。ビジネスにつながる言葉は英語、ということです。
正直に言うと、最近は翻訳アプリがあるので、旅先の言葉を少し覚えてから訪ねる楽しみも、その必要も、少し減ってきた気がしています。
旅先では、日本では会えない人に出会える
言葉が通じると、旅先で出会う人との距離もぐっと近くなります。
完璧な英語でなくても大丈夫です。ケニアでは、マサイ族の人たちとも英語で話しました。主に話していたのは私ですが、2〜3語の短い文でもそこそこ通じて、身振り手振りを交えながら、ちゃんとコミュニケーションがとれました。息子も「Let’s dance!」や「Fire!」など、一言二言の英語で話しかけていました。
セブ島のホテルのプールでも、息子はビニールボールを使って、いろいろな国の人たちと遊んでいました。知っている英単語とジェスチャーだけでも、子ども同士はちゃんと遊べるものです。

ケニアでガイドをしてくれた方は、日本語が流暢でした。国連の仕事もしていた方で、世界の情勢にくわしく、ケニアの民族のことや、民族ごとの言葉と国の公用語のちがいなど、ケニアという国のことをいろいろ教えてくれました。
ガラパゴスで同じ船に乗った人の中には、チェスの世界的なプロ選手がいて、息子がDuolingoでチェスをしているのを、おもしろそうに眺めていました。ハリウッド映画にも少し出ているという、オランダ出身の俳優さんもいました。同じツアーにいたパナマの家族の女の子とは、息子がDuolingoをきっかけに友達になりました。
日本ではまず出会えない人たちと、同じ旅先を共有しながら楽しめるのは、やはり旅の魅力です。そういう人たちが、遠すぎない距離にいる。その感覚は、ふだんの日常から一歩外に出てみないと、なかなか気づけません。

親が英語をやり直すなら:マンツーマンで、時間に融通がきくもの
本当に英語を身につけよう、と覚悟を決める日が来れば、そこから集中してちゃんと勉強することで、英語は習得できると思います。
私がGabaを続けられたのは、マンツーマンで自分に合わせてもらえたことと、時間に融通がきいたことが大きかったです。仕事や子育てで忙しい親が英語をやり直すなら、この2つは大事な条件だと思います。
子どもの英語については、我が家はオンライン英会話のQQキッズ
を経験し、今はDuolingoを続けています。
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