2025年の夏、息子と2人でアフリカへ向かう途中、乗り継ぎのドバイで1泊しました。
「せっかく乗り継ぐなら、空港の外に出てちょっと遊んでいこうか」。最初はそんな軽い気持ちで決めた1日のストップオーバー(途中降機)でしたが、当時9歳だった息子にとって、とても中身の濃い1日になりました。
実は父にとって、ドバイは思い出のある街です。24歳のとき、バックパッカーとしてヨーロッパへ向かう途中、乗り継ぎの合間にタクシーで街へ出て、完成したばかりのブルジュ・ハリファを下から見上げました。25歳で外資系企業に転職したときも、新人研修がドバイであり、同期とこの街を歩き回りました。でも、お金も時間もなかった当時は、展望台に登ることはできませんでした。
「いつか、あのてっぺんからの景色を見てみたい」。若いころに下から見上げていたその景色を、今度は息子と一緒に見に行く。今回のドバイでの寄り道には、そんな父の個人的な目的もありました。

もちろん、長旅の疲れを考えて、できるだけ早くアフリカへ向かうのも一つの方法です。それでも、図鑑で何度も見た「世界一高いビル」や、中東の砂漠の熱い風を、自分の肌で感じたことがあるかどうか。たった1日でも、自分の足で歩いた国は、ニュースや地図で見たときの身近さがまるで違います。
しかも、飛行機代はほとんど変わらず、かかるのはホテル1泊分と少しの滞在費だけ。親の体力さえあれば、とても手軽に知らない国を味わえます。
長旅の疲れと40度の暑さに気をつけながら、ドバイで過ごした1日を、時間の順に書きます。
ドバイでの1日の流れ
| 時間 | 親子でしたこと | 父のメモ |
| 05:45 | ドバイ国際空港に到着。タクシーでホテルへ直行。 | トランジットビザは不要。入国審査も思ったよりすんなり通れました。 |
| 06:30 | ホテル到着 | 前の晩から予約済みだったので、すぐにチェックイン。シャワーを浴びて少し休憩。着いてすぐ荷物を置いて休めるように、1泊多く払ってでも部屋を確保しておくのがおすすめです。 |
| 08:00 | ドバイモールへ歩いて移動。スターバックスで朝食。 | モールが開く前の静かな時間に散歩。目の前のブルジュ・ハリファに、息子は大喜び。 |
| 09:00 | ブルジュ・ハリファの展望台へ | 予約しておいた「At the Top SKY」で、148階のラウンジへ。ほとんど並ばずに済み、砂漠の中の街であることを実感しました。 |
| 11:00 | ドバイ水族館 | 世界最大級の水槽を見学。息子のお気に入りは、テッポウウオの展示。 |
| 12:30 | ドバイモールを見て回る | イギリス生まれのおもちゃ屋さん「Hamleys」へ。日本のおもちゃ屋さんとはちがう雰囲気に、息子は興味津々。昼食は、レストラン「Ana Restaurant」で、フムスやラム肉などの中東料理をいただきました。 |
| 15:00 | いったんホテルへ戻り、親子で昼寝(〜18:30)。 | 外は40度をこえる暑さ。無理に歩かず、クーラーの効いた部屋でしっかり休みます。 |
| 19:00 | 旧市街へ。木造船「アブラ」でスパイス・スークへ。 | ドバイは夜でも安全。運賃1ディルハム(約40円)のアブラに乗り、世界最大の指輪に親子で大笑い。スパイス市場では「にせもののサフラン」を見分ける実験も見学。 |
| 20:00 | ホテルへ。息子はすぐに眠り、父はルームサービス。 | 翌朝のアフリカ行きの便(10時半発)に備えて、早めに休みます。 |
朝5時45分着。ホテルは「前の晩から」予約しておく
エミレーツ航空の深夜便は、ドバイに朝5時45分に着きます。長いフライトのあとで、親子ともにもうクタクタ。父がいちばん気にしていたのは、「どれだけ早く、子ども(と自分)をベッドで休ませられるか」でした。
「朝早く着いたけど、早めにチェックインさせてもらえないかな」と、フロントで頼んでみるのは、子連れではおすすめしません。もし断られたら、重い荷物と眠い子どもを抱えて、暑い街で時間をつぶすことになります。
そこで我が家は、ドバイモールまで歩いて行ける『Heritage Hotel Autograph Collection』を、あえて「前の日の夜から」1泊多く予約しておきました。
「泊まっていない1泊分を払うのはもったいない」と思うかもしれません。でも、着いてすぐに確実に休めることと、親の気持ちの余裕を考えると、ここは削らなくてよかったと思っています。
空港からタクシーでホテルへ直行し、待たずにすぐ部屋へ。シャワーを浴びて、クーラーの効いたベッドでゲームをしながらゴロゴロし始めた息子を見て、「この方法にして本当によかった」と、父は心からホッとしました。



世界一高いビル、ブルジュ・ハリファへ
スターバックスで「海外の人も英語を勉強するんだ!」
ホテルで少し休んだあと、モールが開く前の静かな時間に散歩をしながら、近くのスターバックスへ行きました。
そこで、現地の人がスマホのアプリ「Duolingo(デュオリンゴ)」で、熱心に英語を勉強している姿を見かけました。それを見た息子は、「えっ、海外の人も英語の勉強をするんだ!」とびっくり。「海外の人はみんな最初から英語がペラペラ」と思っていたようです。
目の前にそびえ立つ、世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」を見上げながらの朝ごはん。これだけで、息子は大喜びでした。
並ばずに済む148階のラウンジ「At the Top SKY」
朝9時、いよいよ展望台へ。我が家が選んだのは、ふつうの展望台よりさらに上、148階にあるラウンジ付きのチケット『At the Top SKY』でした。
子連れの旅では、「混雑」と「長い行列」で、親子ともに一気に疲れてしまいます。せっかくの旅行なのに、エレベーターを待つだけで不機嫌になってしまってはもったいないですよね。
少し値段は高いですが、このチケットなら専用のルートでエレベーターへ案内されるので、ほとんど並ばずに済みます。最上階のラウンジでは、ソファーに座って、アラビックコーヒーや中東のお菓子をいただきながら景色を眺められます。時間が限られた1日の寄り道だったので、ここにお金をかけてよかったと思っています。
初めてのデーツと、24歳のときの父の夢
ラウンジでは、中東でよく食べられている「デーツ(ナツメヤシの実)」が出てきました。初めて見るドライフルーツを口に入れた息子は、なんとも言えない顔をして、「パパ……これ、ちょっと美味しくないかも……(苦笑)」。
干し柿をもっと濃くしたような独特の甘さなので、小学生にはまだ早かったかもしれません(笑)。それでも、図鑑で読むだけではわからない現地の味を、自分の舌で知ることができました。
私たちが行った8月は、熱い風に砂がまじっていて、景色はあまりはっきり見えませんでした。それでも、この街が本当に砂漠の真ん中に作られたのだということが、よくわかりました。
24歳のとき、お金がなくて下から見上げるだけだったビルのてっぺんに、今は息子と一緒に立っている。かすんだ景色を眺めながら、父の胸には熱いものがこみ上げていました。
見学を終えて、エレベーターを降りたところにあるお店で、日本で留守番をしている妻へのお土産に、デーツを2箱買いました。さっき息子が苦い顔をしたあの味が、妻の口に合うかどうか。帰国後の反応を楽しみにしながら、次の場所へ向かいます。




展望台のチケットの違いや、子連れで「At the Top SKY」を選んだ理由、予約のコツは、こちらの記事にまとめています。

ドバイモール:大きな水族館と、日本とちがうおもちゃ屋さん
巨大な水槽より、息子が気に入った小さな展示
次に向かったのは、モールの中にある「ドバイ水族館&水中動物園(Dubai Aquarium & Underwater Zoo)」。ショッピングモールの真ん中に、ビル3階分くらいの大きな水槽が突然あらわれます。
水中トンネルをくぐったり、大きな水槽の上をガラス底のボートで進むツアーに乗ったりと、親子でたっぷり楽しみました。
ところが、帰国してから息子がいちばんよく覚えていたのは、最後のほうにあった小さな展示でした。それは、「テッポウウオが的をねらって、水をぴゅっと吐き出す」という、とてもシンプルなもの(笑)。大人が水槽の大きさにおどろいている横で、子どもは小さな生きものの不思議に夢中になっていました。子どもが何に興味を持つかは、本当にわからないものです。


イギリス生まれのおもちゃ屋さん「Hamleys」
水族館の向かいにある、イギリス生まれの有名なおもちゃ屋さん「Hamleys(ハムリーズ)」にも寄ってみました。
日本のデパートのおもちゃ売り場とは、雰囲気がまったくちがいます。店内では、スタッフのお兄さんやお姉さんが、自由に遊べるコーナーでおもちゃを実際に動かして見せていて、子どもたちを巻き込んで大盛り上がり。飾り方も売り方も、見ているだけで楽しくなる工夫がいっぱいで、日本のおもちゃ屋さんとのちがいに、息子は興味津々でした。


初めての中東料理と、40度の昼はホテルで昼寝
スパイスの香る中東料理のランチ
歩き回ってお腹が空いたので、お昼ごはんです。モールの中にある「Ana Restaurant(アナ・レストラン)」という、少し上品なレストランに入りました。
せっかくドバイに来たので、中東料理に挑戦です。運ばれてきたのは、ひよこ豆のペースト「フムス」、ラム肉(羊の肉)のグリル、炊き込みご飯の「マチブース」。「パパ……これ、なんか不思議な匂いがする」。最初は、クミンやコリアンダーといった、かぎ慣れないスパイスの香りに少し戸惑っていた息子。それでも「これ、図鑑に載ってた羊の肉だよ」と話しながら少しずつ食べるうちに、「あ、意外とおいしいかも!」と言っていました。

40度をこえる昼は、無理せずホテルで昼寝
お腹がいっぱいになった15時。ここで父は、「無理をせず、一度ホテルに戻って寝る」と決めました。
8月のドバイの昼間は、外の気温が40度をこえる、サウナのような暑さです。「せっかく来たんだから、もっと観光しないともったいない」と歩き回ると、熱中症になって、その先の旅ができなくなってしまいます。
このあとは夜の旧市街、そして何よりアフリカへの長い移動が待っています。「今は体力を回復させる時間」と割り切ってホテルへ戻り、クーラーの効いた部屋で親子ともぐっすり眠りました。この昼寝のおかげで、夜のスパイス市場も元気に歩けました。
夜は、運賃40円の木造船「アブラ」で旧市街へ
ホテルに戻って、18時半ごろまで親子2人でしっかり昼寝。時差と40度の暑さで減った体力をなんとか取り戻して、夜のお出かけです。
どうしても息子に見せたかった「スパイス・スーク(香辛料の市場)」へ行くため、まだ眠そうな息子を、半分むりやりタクシーに乗せました(笑)。車の中でもウトウトしていた息子でしたが、旧市街と新市街の間を流れるドバイ・クリーク(川)に着き、昔ながらの木造船「アブラ」に乗りこむと、涼しい夜風に吹かれて急に目がパッチリ!
しかも、アブラの乗船料はたったの「1ディルハム(約40円)」。さっきまで高級ホテルや大きなモールを見てきた息子は、「えっ、こんなに安いの!?日本じゃありえない!」と、値段の差におどろいていました。
船を降りて旧市街(ゴールド・スークのあたり)を歩いていると、ショーウィンドウにギネス記録に認定されたという「世界最大の指輪」を見つけました。「人が何人も入れるサイズって、もう指輪って言わないでしょ!(笑)」と、親子で大笑いしました。


スパイス市場で見た「にせもののサフラン」を見分ける実験
近代的なビルが並ぶ街とはがらりと変わって、スパイスの強い香りがただよう市場です。夜に歩くとなると治安が気になりますが、ドバイは夜でもとても安全でした。子連れでも、スリを心配してピリピリせずに歩き回れるのは、親としてありがたいところです。
市場でドバイのコーヒーや紅茶を見ていると、あるスパイス店で思いがけない体験が待っていました。店員さんが、ヨード(うがい薬などに入っているヨウ素)を使って「にせもののサフラン」を見分ける実験を、目の前で見せてくれたのです。
学校や塾の理科で習うような知識が、遠い国の市場では「だまされないための知恵」として使われている。息子が目をキラキラさせて身を乗り出していたのを見て、ここまで連れてきて本当によかったと思いました。


20時にホテルへ。翌朝はいよいよアフリカへ
20時ごろにホテルへ戻ると、息子はベッドに倒れこむようにして眠ってしまいました。初めての中東、見上げるような高いビル、スパイスの強い香り、夜風の中を進む木造船。たった1日でも、初めてのことばかりで、くたくたになったのだと思います。父も外へ食べに行く元気はなく(笑)、ルームサービスを軽く頼んで、静かに夜を過ごしました。
翌日は10時半のフライト。8時にホテルを出るので、ギリギリの7時過ぎまで、息子はぐっすり眠り続けました。
まとめ:ドバイの1日ストップオーバーは子連れにおすすめ
ただの「乗り継ぎの空港」として通り過ぎてしまいがちなドバイ。でも、実際に街へ出てみると、たった1日でもたくさんの体験ができる街でした。
ダウンタウンには世界一高いビルや大きな水族館が集まっていて、旧市街へ足をのばせば、にぎやかな市場があります。飛行機代はほとんど変わらず、かかるのはホテル代とタクシー代くらい。それだけで、息子にとって「中東」が「行ったことのある場所」になりました。
乗り継ぎのある旅行を計画するときは、あえて1泊寄り道してみるのもおすすめです。
旅の続きを読む
ドバイのあとは、いよいよケニアへ。長い移動の疲れも考えて、最初の滞在先には、肉食動物のいない「ナイバシャ湖」を選びました。ガイドさんと一緒に歩いて、キリンやインパラに近づいた話は、ケニアの旅行記に書いています。

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